開発リソースが足りず、業務システムの改修が何か月も止まっている。ローコード開発ツールはその停滞を解く選択肢ですが、製品ごとに作れる範囲も費用の仕組みも大きく異なります。

本記事では15製品を3タイプに分類して比較し、ノーコードとの違い、費用相場、企業規模別の選び方まで解説します。

ローコードツール選びは「何が作れるか」より「どこから先が作れなくなるか」で決まります!

ローコード開発ツール15選 比較一覧表

まず15製品を一覧で比較します。

費用は公式サイトで確認できたものを記載し、個別見積もりのみの製品は「要問い合わせ」としています。

製品名

タイプ

費用の目安

対応言語・拡張手段

特徴

OutSystems

Webアプリ開発対応型

要問い合わせ(無料のPersonal Editionあり)

独自ロジック+外部コード拡張

AIによるアプリ・エージェント生成を前面に展開

Mendix

Webアプリ開発対応型

無料プランあり/Standard €918/月〜

Java・JavaScript拡張

同一プラン内なら1アプリ版とアプリ数無制限版で機能差なし

WebPerformer

Webアプリ開発対応型

要問い合わせ

Javaソースを自動生成

累計1,500社以上。本番環境に有償ランタイム不要

Wagby

Webアプリ開発対応型

要問い合わせ

Java 21(Spring Boot 3は次期版で採用予定)

設計情報を単一の情報源として一元管理

楽々Framework3

Webアプリ開発対応型

要問い合わせ

Java

1,000以上の部品。EOLなしで25年以上サポート

Magic xpa Application Platform

Webアプリ開発対応型

要問い合わせ

メタデータ駆動

一度作って複数デバイスへ展開

Claris FileMaker

Webアプリ開発対応型

1,850〜4,500円/ユーザー/月(税抜・年払、最低5ユーザー)

スクリプト・AI連携

Mac・Windows・iPhone・iPad・Webで動作

Microsoft Power Apps

プラットフォーム型

2,998円/ユーザー/月(年払)

Power Fx・コネクタ

開発者向けプランは無料。大規模向けは1,799円

kintone

プラットフォーム型

1,000〜3,000円/ユーザー/月

JavaScript・API・プラグイン

最低10ユーザー。JS拡張はスタンダード以上

intra-mart

プラットフォーム型

要問い合わせ

ローコード開発機能・BPM

導入10,000社以上。ワークフロー/BPM市場でシェア1位(同社公式サイト記載)

Salesforce Platform(旧Lightning Platform)

プラットフォーム型

3,000円/12,000円/ユーザー/月

Apex・API

Starterはカスタムオブジェクト10件、Plusは110件

AppSuite

プラットフォーム型

800円/ユーザー/月〜

クリック操作中心

グループウェアの一機能として利用。最低5ユーザー

CELF

プラットフォーム型

1,800円/ユーザー/月(初期費用0円)

Excel関数ライクな設定

Excel業務のWebアプリ化に特化。最低10ユーザー

SPIRAL WebTools(旧SPIRAL ver.2)

プラットフォーム型

要問い合わせ

ノーコード設定

認証連携に対応。PDF帳票出力はオプション

プリザンター(Pleasanter)

OSS型

無料(有償サポートは年間42万円〜)

スクリプト・API

Community Editionは無制限で利用可能

※海外製品の価格は為替により変動します。日本円表記は税抜が中心です。

比較表の見方と各項目の意味

「タイプ」は、そのツールがどこを起点に設計されているかを示します。

Webアプリ開発対応型は、業務システムそのものを構築するための開発基盤です。プラットフォーム型は、既存の業務環境やデータ基盤の上にアプリを載せる形をとります。OSS型は、自社サーバーで運用でき、ライセンス費用が発生しません。

「費用の目安」は下限です。ユーザー課金型では利用人数、開発基盤型では開発ライセンス数とサーバー数で総額が決まります。

開発基盤型の製品が「要問い合わせ」となっているのは、価格を隠しているのではなく、開発規模によって構成が変わるためです。

「対応言語・拡張手段」は、標準機能で足りなくなったときに何ができるかを示します。ここが記事全体で最も重要な項目です。

GUI操作だけで完結する範囲は製品ごとに大差ありませんが、そこを超えたときにコードで拡張できるかどうかが、数年後にツールを乗り換えるかどうかを分けます。

「特徴」は、その製品を選ぶ決め手になりやすい要素を1点に絞っています。

なお、AppSuiteとCELFは公式サイト上で「ノーコードツール」と位置づけられています。本記事では拡張性の観点からプラットフォーム型に含めていますが、コードによる作り込みを前提とする場合は他の製品と性格が異なる点に注意してください。

ローコード開発ツールとは?ノーコードとの違い

ローコード開発ツールとは、画面やデータ構造をGUIで定義しながら、必要な箇所だけコードを書いてアプリケーションを構築するツールです。

【ローコードとは】必要最小限のコード記述でアプリケーションを開発する手法のことです。開発量の大部分をGUI操作に置き換えつつ、複雑な処理はコードで補います。

【ノーコードとは】コードを一切書かずにアプリケーションを開発する手法のことです。テンプレートと設定画面の組み合わせで完結する代わりに、想定外の要件には対応できません。

国内のローコード/ノーコード開発市場は2024年度に994億円(前年度比15.1%増)に達し、2025年度も14.9%増が見込まれています(ITR調べ)。

市場が伸び続けている背景には、開発人材の不足と、事業部門が自ら業務システムを作る動きの広がりがあります。

コードを書かずに業務システムを作る方法については、ノーコードシステム開発の基本で解説しています。

ローコード開発でできること

ローコードで現実的に作れるのは、社内の業務システムと、業務プロセスをWeb化したアプリケーションです。

具体的には次のような領域が中心になります。

  • 案件管理、顧客管理、問い合わせ管理といったデータベース型の業務アプリ
  • 申請から承認までを追跡するワークフローシステム
  • 在庫や生産の実績を入力し、集計・可視化する現場向けアプリ
  • 取引先や顧客が使う外部向けの入力フォームとポータル
  • 表計算ソフトで運用していた台帳の共同編集化

GUI操作で作るのは、画面レイアウト、入力項目、データ構造、権限設定、承認ルートといった定型部分です。

コードを書くのは、複雑な計算ロジック、外部システムとのAPI連携、独自の画面挙動といった、テンプレートで表現しきれない部分に限られます。

この分担によって、小〜中規模のシステム構築であれば、従来の数か月から数週間規模へ短縮できるケースがあります。

【スクラッチ開発とは】既存のパッケージやツールを使わず、要件に合わせてゼロからプログラムを書いて開発する手法のことです。自由度は最も高い一方、期間と費用がかかります。

ノーコードとの使い分け基準

判断基準は「社内にコードを書ける人がいるか」と「作るものが変化し続けるか」の2軸です。

ノーコードを選ぶべきケース

  • 社内に開発経験者がおらず、当面採用予定もない
  • 作るものが定型的で、テンプレートの範囲で足りる
  • 部門内で完結し、他システムとの連携が発生しない
  • まず小さく試して、効果が出たら本格導入を検討したい

ローコードを選ぶべきケース

  • 情報システム部門や、コードを書ける担当者が1人以上いる
  • 既存の基幹システムやデータベースと連携する必要がある
  • 業務ルールが複雑で、条件分岐や計算ロジックが多い
  • 将来的に利用者が増え、性能や権限管理の要件が上がる見込みがある

判断に迷ったときは、作りたいシステムの要件を書き出し、「テンプレートの設定項目だけで表現できるか」を1つずつ確認してください。表現できない要件が3つ以上あるなら、ローコードを選んだほうが後の作り直しを避けられます。

逆に、すべて表現できるならノーコードで十分です。拡張性のためだけに高機能な製品を選ぶと、使われない機能に費用を払い続けることになります。

ノーコードで足りると判断できたら、ノーコード開発ツールの比較で用途や料金から候補を絞り込めます。

分岐点は「コードを書ける人が社内に1人でもいるか」。いないなら、拡張性より定着しやすさを優先すべきです!

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ローコード開発ツールのメリット・デメリット

導入前に、得られる効果と受け入れる制約の両方を把握しておく必要があります。

開発スピードとコスト削減の効果

最大の効果は、要件の変更に即座に対応できるようになることです。

スクラッチ開発では、画面に項目を1つ追加するだけでも、設計変更、実装、テスト、リリースの工程を踏みます。外注していれば見積もりと発注の手続きも加わり、数週間から数か月かかることも珍しくありません。

ローコードでは、この作業がGUI上の設定変更で完結します。項目追加やレイアウト変更なら、その日のうちに反映できます。

開発工数そのものも圧縮されます。画面、データベース、権限管理といった定型部分は自動生成されるため、エンジニアは業務ロジックと連携部分に集中できます。

同じ規模のシステムを作る場合、スクラッチ開発と比べて開発期間が数分の1になるケースがあります。

費用面では、外注費の削減が直接的な効果です。加えて、保守運用の負担も変わります。フレームワークのバージョンアップやセキュリティパッチの適用をベンダーが担うため、自社で追随する必要がなくなります。

副次的な効果として、業務部門と情報システム部門の距離が縮まります。画面を見せながら要件を詰められるため、仕様の認識違いによる手戻りが減ります。

カスタマイズ性やセキュリティの制約

一方で、制約も明確にあります。

第一に、プラットフォームが用意した枠を超える処理は実装できません。特殊な画面表現、大量データの高速処理、独自のアルゴリズムを必要とする機能は、ローコードの得意領域ではありません。

多くの要件は素早く作れても、一部の要件で行き詰まり、結局その部分だけスクラッチ開発するという事態は実際に起こります。

第二に、性能の上限が読みにくい問題があります。数十件のデータでは軽快に動いていた画面が、数十万件になると実用に耐えない速度になることがあります。

自動生成される処理の中身が見えない製品ほど、この問題は改善しにくくなります。導入前に、想定する最大データ量で検証してください。

第三に、プラットフォームへの依存が生じます。ツールを乗り換えようとしたとき、作ったアプリケーションをそのまま移せるとは限りません。この点は後述する注意点で詳しく扱います。

セキュリティについては、クラウド型では自社のセキュリティポリシーとの適合を確認する必要があります。データの保管場所、アクセス制御の粒度、監査ログの取得可否、外部認証基盤との連携可否が確認項目です。

また、事業部門が自由にアプリを作れる環境は、管理されないアプリが社内に増える原因にもなります。誰がどのアプリを作り、どのデータにアクセスできるかを把握する仕組みを、導入と同時に整えておく必要があります。

ローコード開発ツール3つのタイプ分類

製品数が多いため、個別比較の前にタイプを絞り込むほうが効率的です。

Webアプリ開発対応型

業務システムそのものを構築するための開発基盤です。画面、データベース、業務ロジックをすべて自前で設計し、独立したアプリケーションとして動かします。

このタイプの特徴は、作れる範囲の広さです。基幹システムの刷新、社外向けサービスの構築、既存システムのモダナイゼーションといった、規模の大きい用途に対応できます。

生成されたソースコードを確認できる製品もあり、性能問題が起きたときに原因を追える点は実務上の安心材料になります。

向いているのは、情報システム部門に開発経験者がいて、複数のシステムを継続的に作り続ける企業です。

注意点は初期投資と学習コストです。開発ライセンスの費用に加え、担当者がツールを使いこなすまでに数か月かかります。単発のアプリを1つ作りたいだけなら、投資に見合いません。

プラットフォーム型

既存の業務環境やデータ基盤の上にアプリを載せるタイプです。グループウェア、CRM、オフィススイートといった土台がすでにあり、その周辺業務をアプリ化していく形をとります。

最大の利点は、認証、権限管理、通知、ファイル管理といった共通機能を作らなくて済むことです。土台側の仕組みをそのまま使えるため、業務ロジックの実装だけに集中できます。

すでにその基盤を導入している企業なら、追加投資も小さく抑えられます。向いているのは、全社的な情報基盤がすでに動いていて、そこに紐づく業務をデジタル化したい企業です。

制約は、土台の設計思想から外れる要件に弱いことです。データ構造や画面の作り方に土台側のルールが適用されるため、独自性の強いシステムには向きません。

また、ユーザー課金型が中心のため、利用者が増えるほど月額費用が積み上がります。

OSS型(オープンソース)

ソースコードが公開され、自社サーバーで運用できるタイプです。

利点はライセンス費用がかからないことです。利用人数が増えても費用は変わらず、サーバー費用だけで運用できます。

データを自社の管理下に置けるため、外部にデータを出せない業種や、閉じたネットワーク内で運用したい場合にも適します。ソースコードを直接改修できるため、カスタマイズの自由度も高くなります。

向いているのは、サーバーを自社で運用できる体制があり、利用人数が多い企業です。ユーザー課金型と比べたコストメリットは、人数が増えるほど大きくなります。

制約は運用負荷です。サーバーの構築、バージョンアップ、バックアップ、障害対応をすべて自社で担います。無料なのはライセンスであって、運用は無料ではありません。

この負担を引き受けられない場合は、有償サポートを契約するか、クラウド版を選ぶことになります。

ローコード開発ツールの比較ポイント5つ

評価すべき軸は5つです。

  1. 対応する開発言語とスプレッドシート連携
  2. AI自動生成機能とテンプレート充実度
  3. 設計書出力とガバナンス対応
  4. 既存システムとの連携方式とデータベースの制約
  5. 学習コストと情報の入手しやすさ

4の既存システム連携は、APIによるリアルタイム連携が可能か、CSVでのバッチ連携までかを確認します。

あわせて、扱えるデータ件数の上限、外部データベースを直接参照できるか、既存の認証基盤と連携できるかを見てください。ここが合わないと、ツールを入れた後にデータの受け渡しを人が手作業で埋めることになります。

5の学習コストは、担当者が独力で問題を解決できるかを左右します。日本語のドキュメントが整備されているか、公式のトレーニングがあるか、同じ製品を使う企業のコミュニティで情報を得られるか。

国産製品は日本語情報が豊富な一方、海外製品は英語の情報量で勝るという傾向があります。

ここからは重要度の高い上位3つを詳しく見ていきます。

対応する開発言語とスプレッドシート連携

拡張手段は、GUIで足りなくなった瞬間に効いてきます。確認すべきは3点です。

  • どの言語で拡張できるか:Javaのソースコードを生成する製品であれば、社内のJavaエンジニアがそのまま保守に加われます。独自言語しか使えない製品では、その製品専任の担当者を育てる必要があります
  • 拡張がどのプランから使えるか:安価なプランではコードによる拡張やAPIが制限されている製品があります。試算した月額が、実際に必要な機能では倍になることがあります
  • 生成されたコードを確認・持ち出せるか:性能問題の調査や、将来の移行可否に直結します

スプレッドシート連携も実務では重要な確認項目です。既存業務の多くは表計算ソフトの台帳で回っており、移行の第一歩はそのデータの取り込みになるためです。

既存ファイルをそのまま取り込めるか、レイアウトを保ったままWebアプリ化できるか、逆に集計結果を表計算形式で書き出せるか。この3点が満たされていると、現場の抵抗が小さくなります。

表計算ソフトの操作感を残したまま複数人で同時編集できるようにする製品もあり、移行のハードルを下げる有効な手段になります。

AI自動生成機能とテンプレート充実度

AI機能は、ツール選定の新しい比較軸になっています。現在提供されている機能は、大きく3つに分かれます。

  • 自然言語での指示からアプリの画面やデータ構造を生成する機能
  • 複雑な業務ロジックのコードを生成し、GUIで作った部分と組み合わせる機能
  • 蓄積したデータの分析や、問い合わせ対応を担うAI機能をアプリに組み込む機能

1つ目は立ち上がりの速度に効きます。ゼロから画面を組む作業が省略され、生成された叩き台を修正する形で進められます。

2つ目は、ローコードが苦手としてきた複雑な処理への対応力を底上げします。

ただし、AI機能はプラン依存であることが多く、追加費用が発生する場合もあります。デモで見た機能が契約するプランに含まれるかを必ず確認してください。

テンプレートの充実度も、初期構築の速度を左右します。確認すべきは数ではなく、自社の業務に近いテンプレートがあるかどうかです。汎用テンプレートが数百個あるより、自社の業種向けが数個あるほうが役に立ちます。

設計書出力とガバナンス対応

企業利用では、作った後の管理体制まで含めて評価する必要があります。

設計書の自動出力は、実務上の価値が高い機能です。ローコードで作ったシステムは画面上の設定が実体であり、放置すると「動いているが、誰も中身を説明できないシステム」になります。

設定内容から画面定義やデータ定義を設計書として出力できれば、担当者の異動があっても引き継げます。外部監査や、社内の情報システム部門への申請でも求められる資料です。

ガバナンス面では、次の項目を確認してください。

  • 権限管理の粒度:ユーザー単位、役職単位、データの行単位まで制御できるか
  • 開発環境と本番環境の分離:検証してから本番に反映する手順を踏めるか
  • アプリの棚卸し機能:社内で誰がどのアプリを作り、どのデータを扱っているかを一覧できるか
  • 監査ログ:誰がいつ何を変更したかを追跡できるか
  • 外部認証基盤との連携:既存のID管理と統合できるか

事業部門が自由にアプリを作れることはローコードの利点ですが、統制の仕組みがないまま広げると、退職者が作ったアプリが誰にも触れない状態で残る、といった問題が起きます。

導入時点でこの仕組みを持つ製品を選ぶか、運用ルールで補うかを決めておいてください。

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Webアプリ開発対応型のおすすめツール

業務システムそのものを構築できる開発基盤型の製品です。

各製品の要点を表で示し、選定時に効いてくるポイントだけを補足します。

OutSystems

費用

個別見積もり(アプリ数・ユーザー数・アドオンに応じる)

拡張手段

独自ロジック+外部コードによる拡張

無料で試せる範囲

Personal Edition(作成・配置・実行まで可能。DBストレージ1GB・内部ユーザー最大100名・SLAなし。本番利用は対象外)

特徴

AIによるアプリ・エージェント生成を前面に展開

向いている企業

複数の基幹系を継続的に開発・保守する体制がある企業

大規模開発に対応する高機能プラットフォームで、基幹システムの刷新や社外向けサービスの構築に採用されています。

注意点は2つです。無料のPersonal Editionではアプリの作成・配置・実行まで一通り行えますが、データベースストレージは1GB、内部ユーザーは最大100名、SLAやサポートの保証はなく、公式にも「探索・トレーニング・サンドボックス用途を想定しており、ミッションクリティカルな用途や高負荷なアプリはサポート対象外」と案内されています。本格的な本番運用には有償のサブスクリプションが前提です。もう1点、商用版は公開価格がなく、検討段階で要件を整理してから見積もりを取る必要があります。

単発の業務アプリを作りたいだけの企業には過剰な選択肢です。

公式サイト

Mendix

費用

Standard 月額918ユーロ〜(1アプリ)/月額2,295ユーロ〜(アプリ数無制限)

拡張手段

Java・JavaScriptによる拡張

無料で試せる範囲

無料プランあり(デモ・プロトタイプ用途)

特徴

1アプリ版とアプリ数無制限版で機能差がない

向いている企業

1つのアプリで効果を検証してから横展開したい企業

部門規模から基幹システムまでをカバーするプラットフォームで、料金体系が明快な点が特徴です。

同じStandardプラン内であれば、1アプリ版とアプリ数無制限版に機能差はありません。アプリ数を理由に機能を諦める必要がないため、まず1アプリで検証し、横展開が決まった段階で切り替える進め方が取れます(可用性やサポート水準を上げたい場合はPremiumが別途必要です)。

ユーロ建てのため、予算を組む際は為替の変動幅を見込んでおいてください。

公式サイト

WebPerformer

費用

個別見積もり(本番環境に有償ランタイム不要)

拡張手段

Javaソースコードを自動生成し、生成物を直接保守できる

導入実績

累計1,500社以上(2026年6月時点)

特徴

JSP・Servlet・JavaBeans・DBスキーマと設計書を自動生成

向いている企業

全社展開を前提とし、社内Javaエンジニアで保守したい企業

キヤノンITソリューションズが提供する国産の開発基盤です。

実務上の利点は2つあります。生成物が標準的なJavaアプリケーションのため、社内や外注先のJavaエンジニアがそのまま保守に加われること。もう1つは本番環境に有償ランタイムが不要で、利用者が増えても実行環境の費用が積み上がらないことです。

レガシーシステムのモダナイゼーション用途でも採用されています。クラウド版のWebPerformer CloudとWebPerformer-NXも提供されています。

公式サイト

このタイプには、ほかにも国産の開発基盤が選択肢に入ります。

製品名

提供元

費用

特徴・向いている用途

Wagby

ジャスミンソフト

要問い合わせ

1つの定義ファイルを唯一の情報源として、データ・業務ルール・権限・画面・APIを一元管理。複雑な処理はAI生成コードで補うハイブリッド構成。現行版はWagby R9系(2026年7月時点の最新はR9.4.2)でJava 21に対応し、生成物を社内で保守できる。2026年11月12日に正式版が予定されている次期メジャーバージョン「Wagby 11」では、Java 21・Spring Boot 3・OpenAPI Specificationといった標準技術の採用が公式に予告されている

楽々Framework3

住友電工情報システム

要問い合わせ

1,000以上の部品をGUI操作で組み合わせる純国産基盤。導入950社・5,700ライセンス。EOLを設けず25年以上保守を継続し、無償バージョンアップで新技術を提供。長期運用前提の基幹システム向き

Magic xpa Application Platform

マジックソフトウェア・ジャパン

要問い合わせ

メタデータ駆動アーキテクチャを採用し、技術の世代交代でも作り直しが不要。一度作ったアプリをデスクトップ・Web・モバイルへ展開できる。同種のアプリを量産する用途向き

Claris FileMaker

Claris

クラウド版 1ユーザー月額2,200円(Starter)/4,500円(Max)、オンプレミス年間ユーザライセンス 1,850円/2,400円。いずれも税抜・年払・最低5ユーザー。45日間の無料評価版あり

Mac・Windows・iPhone・iPad・Webで動作。スクリプトによる業務処理の自動化とAI機能の統合に対応。現場部門が小規模アプリを素早く作り、必要に応じて拡張する用途向き

いずれも生成物や定義を自社側で保守できる設計思想が共通しています。長期運用を前提とするなら、この4製品も候補に入れて比較してください。

プラットフォーム型のおすすめツール

既存の業務基盤の上にアプリを載せるタイプの製品です。

Microsoft Power Apps

費用

Premium 1ユーザー月額2,998円(年払)/2,000シート以上は月額1,799円

拡張手段

Power Fx・各種コネクタ(標準/カスタム/オンプレミス向け)

無料で試せる範囲

開発者向けプランは無料(非運用環境での構築・テストに限る)

注意点

ユーザー課金型。データ容量の追加は1GBあたり月額5,997円

向いている企業

オフィススイートとクラウド基盤をすでに全社導入している企業

既存のオフィス環境との連携を前提としたプラットフォームです。認証やファイル管理の仕組みをそのまま活用でき、社内に多数のシステムを抱える企業ではコネクタの豊富さが効いてきます。

注意点はユーザー課金型である点です。全社員が使うアプリを想定する場合は、人数分の月額とデータ容量の追加費用を積み上げて総額を確認してください。

公式サイト

kintone

費用

ライト 月額1,000円/スタンダード 1,800円/ワイド 3,000円(1ユーザーあたり)

最低契約数

ライト・スタンダードは10ユーザー、ワイドは1,000ユーザー

拡張手段

JavaScript・API・プラグイン(スタンダード以上)

無料で試せる範囲

30日間の無料お試し

向いている企業

現場部門が自らアプリを作り、運用まで担いたい企業

現場部門が自らアプリを作れることを重視したプラットフォームです。操作性はノーコード寄りで、開発経験のない担当者でもデータベース型のアプリを構築できます。

選定時に必ず確認すべきなのが拡張機能の扱いです。外部サービス連携、プラグイン、JavaScriptによるカスタマイズはスタンダードコース以上に限られます。ローコードとしての拡張性を求めるなら、実質的にスタンダードが起点です。

現場が自分で作れるかどうかは資料では判断できません。無料お試しの期間に、実際の担当者へ触ってもらうことをおすすめします。

公式サイト

intra-mart

費用

要問い合わせ(全社基盤としての導入が前提)

拡張手段

ローコード開発機能・BPM

導入実績

10,000社以上。ワークフロー/BPM市場でシェア1位(同社公式サイト記載。出典:富士キメラ総研『ソフトウェアビジネス新市場2025年版』ワークフロー・パッケージ、2024年度金額ベース)

特徴

高機能ワークフローを共通基盤とし、その上に業務アプリを載せる

向いている企業

複雑な承認ルートを持つ大規模組織

NTTデータ イントラマートが提供する国産の業務プラットフォームです。強みは申請・承認をはじめとする業務プロセスのデジタル化にあります。

大規模組織で効いてくるのが承認ルートへの対応力です。組織階層に応じた自動分岐、代理承認、条件による経路変更といった要件は汎用のローコードツールでは作り込みが重くなりますが、ワークフローを土台に持つ製品なら標準機能で吸収できます。

全社基盤としての導入が前提のため、部門単位の小さな用途には規模が合いません。

公式サイト

Salesforce Platform

費用

Platform Starter 1ユーザー月額3,000円/Platform Plus 12,000円(年間契約)

拡張手段

Apex・API

プラン差

カスタムオブジェクト数がStarter 10件、Plus 110件

特徴

顧客管理基盤の上でカスタムアプリを構築できる

向いている企業

すでに顧客管理基盤を導入し、そのデータを活用したい企業

営業活動や顧客対応の周辺業務をアプリ化する用途で強みを発揮します。

プラン選定で効いてくるのがカスタムオブジェクトの数です。案件、顧客、商品、契約、対応履歴といった単位で数えると10件は早く到達するため、導入前に必要数を洗い出しておいてください。

逆に、顧客管理と関係のない業務システムを作る目的だけで選ぶと、基盤の強みを活かしきれません。

公式サイト(料金ページ)

このタイプには、ほかにも国産の選択肢があります。

製品名

提供元

費用

特徴・向いている用途

AppSuite

ネオジャパン

desknet's NEO スタンダードプラン 1ユーザー月額800円(AppSuite込み・税抜)/プレミアム1,000円。最低5ユーザーから1ユーザー単位。下位のライトプランではAppSuiteは利用不可

グループウェアの一機能として利用でき、クリック操作だけでアプリを作成。集計・可視化、モバイル対応、テンプレートに対応し、グループウェア側のワークフローと組み合わせて業務全体をデジタル化できる

CELF

SCSK

初期費用0円/クラウド版 1ユーザー月額1,800円(10ユーザー以上)

表計算ソフトの業務をWebアプリ化することに特化。既存ファイルを変換でき、同時更新でも競合が起きない。公式表記で1,000万明細以上を保存できる大容量リレーショナルDBを備え、RPA連携にも対応。30日間の無料トライアルあり

SPIRAL WebTools(旧SPIRAL ver.2)

スパイラル

要問い合わせ

実務担当者が自ら業務改善を進める想定の設計。外部認証基盤との連携に対応し、PDF帳票出力はオプションで提供。2026年7月に「SPIRAL ver.2」から名称変更されている

AppSuiteとCELFは公式サイト上でノーコードツールと位置づけられています。コードによる作り込みを前提とする場合は、上の4製品とは性格が異なる点に注意してください。

無料・OSSで使えるローコード開発ツール

初期コストを抑えて検証したい場合の選択肢です。

プリザンター(Pleasanter)

費用

Community Editionは無料(人数・アプリ数の制限なし)/有償版は年間42万円〜

拡張手段

API・スクリプト

無料で試せる範囲

Community Editionは無制限。60日間のデモ環境もあり

主な機能

データ管理、ガントチャート、カンバン、分析・レポート、変更履歴

向いている企業

全社展開してもライセンス費を増やしたくない企業、自社でデータを管理したい企業

インプリムが提供する国産のオープンソースツールです。ユーザー課金型では全社展開時に月額が積み上がりますが、この製品ではライセンス費用が発生しません。

自社サーバーに導入すればデータを自社管理下に置けるため、外部にデータを出せない要件にも対応できます。無料で始めて、業務の中核に据える段階で有償版へ移る進め方が現実的です。

パートナーネットワークは150社以上あり、オープンソースでありながら導入支援を受けられます。社内にサーバー運用の知見が少ない企業には重要な点です。

公式サイト

Bubble

※本記事の15選には含めていませんが、比較検討時に候補に挙がることの多いツールとして紹介します。

費用

無料プランあり/有償プランは複数段階

課金の仕組み

ユーザー数ではなく、ワークロードユニット(処理量)に応じた課金

無料で試せる範囲

独自ドメインへの公開は不可。プロトタイプ作成と学習用

注意点

処理の重いアプリでは上限超過により追加費用が発生する

向いている企業

新規サービスのプロトタイプを素早く形にしたいスタートアップ

Webアプリケーションを画面上の操作で構築できる海外発のツールで、個人開発者やスタートアップを中心に広く使われています。

最大の注意点は課金の仕組みです。利用者数が増えても定額で済む一方、データ量の多い一覧表示や定期的な自動処理を多用すると消費量が跳ね上がります。導入判断では「何人が使うか」ではなく「どれくらいの処理が走るか」を見積もってください。

プランごとの金額と上限は改定されることがあるため、公式の料金ページで最新の条件を確認してください。

公式サイト

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ローコード開発ツールの費用相場

料金モデルが製品ごとに異なるため、単純な月額比較では判断を誤ります。

初期費用の相場と料金モデル

初期費用は提供形態によって3つの層に分かれます。

形態

初期費用の相場

該当する製品タイプ

クラウド型SaaS

0円

プラットフォーム型の多く

開発基盤ライセンス型

数十万〜数百万円(個別見積もり)

Webアプリ開発対応型

OSS型

0円(サーバー構築費は自社負担)

OSS型

クラウド型SaaSは初期費用が0円の製品が中心です。契約したその日から使い始められ、費用面のリスクはほとんどありません。

開発基盤ライセンス型は、開発ライセンスと実行環境のライセンスを購入する形が一般的です。開発者の人数とサーバーの台数で構成が変わるため、公開価格がなく個別見積もりとなります。

基幹システムの構築を想定する規模になると、数百万円規模の初期投資を見込む必要があります。

OSS型はライセンス費用がかかりませんが、サーバーの調達と構築、初期設定の工数は自社負担です。金額としては小さくても、実施できる人材がいなければ外部への委託費が発生します。

見落としやすい初期費用として、次の項目も試算に含めてください。

  • 初期設定と環境構築の支援費用
  • 既存データの移行費用
  • 担当者向けトレーニングの費用
  • 既存システムとの連携部分の開発費用

ランニングコストの目安

月額費用は課金軸によって性質が大きく変わります。

課金モデル

費用の目安

費用が増える要因

ユーザー課金型

800〜3,000円/ユーザー/月

利用者数

上位ユーザー課金型

12,000円/ユーザー/月〜

利用者数・機能グレード

定額型(アプリ単位)

月額十数万円〜

アプリ数・環境数

処理量課金型

プランごとに定額+上限超過分は従量

サーバー処理量

ライセンス型

保守費用(ライセンス費用の一定割合)

サーバー台数・開発者数

OSS型

0円(有償サポートは年間42万円〜)

サポート契約の有無

判断の要点は、自社の使い方でどの軸が伸びるかを見極めることです。

全社員が日常的に使うアプリを想定するなら、ユーザー課金型は人数分の費用が毎月かかります。300人で1ユーザーあたり月額1,800円なら年間648万円です。

この規模になると、OSS型や実行環境に費用のかからない開発基盤型のほうが総額を抑えられる可能性があります。

逆に、利用者が20人程度の部門システムであれば、ユーザー課金型のほうが圧倒的に安く済みます。初期投資が不要で、合わなければやめられる点も利点です。

処理量課金型は、利用人数と費用が連動しません。少人数でもデータ処理の多いアプリなら費用が上がり、多人数でも軽い処理なら安く収まります。読みにくい分、事前の検証が重要になります。

料金比較は「1ユーザーいくら」ではなく「3年後に何人が使い、どの機能が必要か」で試算してください!

企業規模・目的別の選び方ガイド

同じ製品でも、企業の規模と体制によって最適解は変わります。

中小企業・スタートアップ向けの選び方

優先すべきは、初期投資の小ささと、担当者が独力で運用できることです。判断の順序は次のとおりです。

  1. 初期費用0円で、無料プランまたは無料トライアルがある製品に絞る
  2. 実際の業務データを入れて、現場の担当者に触ってもらう
  3. 拡張機能がどのプランから使えるかを確認する
  4. 1年後・3年後の利用人数を想定して総額を試算する

社内に開発経験者がいない場合は、拡張性より定着しやすさを優先してください。高機能な開発基盤を導入しても、使いこなす人材がいなければ費用だけが残ります。

まずは操作性を重視した製品で1つ業務を移し、効果が確認できてから範囲を広げるほうが確実です。

コードを書ける担当者が1人でもいる場合は、拡張手段が用意された製品を選ぶ価値があります。ただし、その担当者に依存する構造になるため、設計書出力やドキュメント整備の仕組みを最初から意識してください。

予算が限られていて利用人数が多い場合は、OSS型が有力な選択肢です。サーバー運用ができる体制があるか、有償サポートを契約する余地があるかを確認したうえで検討してください。

中堅・大企業向けの選び方

優先すべきは、既存システムとの連携と、全社展開に耐えるガバナンスです。確認すべき項目は次のとおりです。

  • 既存の基幹システムやデータベースとどの方式で連携できるか
  • 既存のID管理基盤と統合し、シングルサインオンに対応できるか
  • 権限管理をどの粒度まで設定できるか
  • 開発環境と本番環境を分離し、検証を経て反映する手順を踏めるか
  • 誰がどのアプリを作り、どのデータを扱っているかを一覧できるか
  • 監査ログを取得し、変更履歴を追跡できるか
  • 設計書を自動出力し、担当者交代時に引き継げるか

すでに全社的な業務基盤が動いている企業では、その基盤の上に載せるプラットフォーム型が有力です。認証や権限の仕組みを二重に作らずに済み、利用者にとっても入口が1つで済みます。

基幹システムの刷新や、長期運用が前提の大規模システムを構築する場合は、開発基盤型を検討してください。

生成されたコードを確認でき、実行環境に追加費用がかからない製品であれば、全社展開時のコストと保守性の両面で有利になります。製品のサポート期間の方針も、10年単位で使うシステムでは重要な選定理由になります。

利用人数が数百人規模になる場合は、ユーザー課金型の総額を必ず年額で試算し、他の課金モデルと比較してください。

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ローコード開発ツール導入時の注意点

導入後に後悔しないために、事前に確認すべきリスクがあります。

ベンダーロックインとデータ移行リスク

ローコード導入で最も見落とされるのが、やめるときのコストです。

【ベンダーロックインとは】特定のベンダーの製品やサービスに依存し、他社製品への乗り換えが困難になる状態のことです。

ローコードで作ったアプリケーションは、そのプラットフォーム固有の形式で保存されています。ツールを乗り換える場合、画面もロジックも作り直しになるのが一般的です。

3年かけて100個のアプリを作った後にこの事態に直面すると、移行費用が当初の導入費用を大きく上回ります。リスクを下げる方法は3つあります。

第一に、データの取り出し方を導入前に確認してください。標準機能で全データを表計算形式やCSVで書き出せるか、API経由で取得できるか、データベースの構造を把握できるか。

アプリは作り直せてもデータが取り出せなければ、業務そのものが止まります。

第二に、生成されたソースコードを確認・持ち出せる製品を選ぶ選択肢があります。標準的な言語のコードが手元に残るなら、最悪の場合でも自社または外注先で保守を継続できます。この点は開発基盤型の製品が持つ実務的な利点です。

第三に、依存の範囲を意図的に区切る方法があります。基幹となるデータは既存のデータベースに置き、ローコード側は画面と業務ロジックだけを担当させる構成にすれば、乗り換え時の影響を画面部分に限定できます。

なお、ロックインを完全に避けることはできません。重要なのは、どこまで依存するかを意識して選ぶことです。

導入前に確認すべきは「入れ方」ではなく「出し方」。データを全件書き出せるかを最初に試してください!

セキュリティ対策と社内体制の整備

クラウド型を利用する場合、自社のセキュリティ要件との適合を確認する必要があります。確認項目は次のとおりです。

  • データの保管場所と、国内保管の可否
  • 通信と保管データの暗号化
  • アクセス制御の粒度と、IPアドレスによる接続制限
  • 監査ログの取得範囲と保存期間
  • 取得している第三者認証
  • 障害時の復旧目標と、バックアップの取得頻度

自社で取り扱う情報の機密度に応じて、要件を満たす製品を絞り込んでください。外部にデータを出せない情報を扱う場合は、自社サーバーで運用できるOSS型やオンプレミス版のある製品が候補になります。

社内体制の整備も、技術的な対策と同じくらい重要です。

【市民開発者とは】情報システム部門に所属しない業務部門の担当者が、自らアプリケーションを開発する役割を担うことを指します。

事業部門が自由にアプリを作れる状態は、ローコードの最大の利点であると同時に、統制を失う原因にもなります。

管理されないアプリが増え、退職者が作ったアプリを誰も触れない、機密データが権限設定なしで共有されている、といった問題が実際に起こります。導入と同時に、次の仕組みを整えてください。

  • アプリを作る前に申請し、情報システム部門が確認する手順
  • 扱ってよいデータの種類と、権限設定の最低ルール
  • 本番利用するアプリの一覧と、それぞれの管理責任者の明確化
  • 定期的な棚卸しと、使われていないアプリの廃止
  • 作った担当者が異動・退職する際の引き継ぎ手順

あわせて、市民開発者を育てる仕組みも必要です。ツールを導入しただけでは現場は動きません。研修の実施、成功事例の共有、質問に答える窓口の設置といった支援があって初めて、業務部門が自ら作る文化が根づきます。

情報システム部門の役割も変わります。すべてを自ら開発するのではなく、基盤を整え、ルールを定め、現場を支援する立場へ移行していくことになります。

まとめ:自社に最適なローコード開発ツールを選ぶために

ローコード開発ツール選びの要点を振り返ります。

まず、ノーコードとの分岐点を確認してください。社内にコードを書ける担当者がいるか、既存システムとの連携が必要か、業務ルールが複雑か。これらに該当しないなら、拡張性より定着しやすさを優先すべきです。

次に、3つのタイプから自社に合うものを絞り込みます。業務システムを継続的に作り続けるならWebアプリ開発対応型、既存の業務基盤の上に載せるならプラットフォーム型、利用人数が多くサーバー運用ができるならOSS型が候補になります。

評価軸は5つですが、最も重要なのは対応する開発言語と拡張手段です。GUIで足りる範囲は製品ごとに大差ありません。その先で何ができるかが、数年後の判断を分けます。

そして、導入前に「出し方」を確認してください。データを全件書き出せるか、生成物を持ち出せるか。この確認を怠ると、乗り換えたくなったときに動けなくなります。

選定チェックリスト

最終判断の前に、次の項目を確認してください。

確認項目

確認の観点

拡張手段

どの言語で拡張できるか。それはどのプランから使えるか

データ連携

既存システムとAPI連携できるか。CSVのみか

データ量

想定する最大件数で性能を検証したか

認証連携

既存のID管理基盤と統合できるか

権限管理

ユーザー単位・データ単位まで制御できるか

環境分離

開発環境と本番環境を分けられるか

設計書出力

設定内容を設計書として出力できるか

監査ログ

誰が何を変更したかを追跡できるか

データ出力

全データを書き出せるか。API経由で取得できるか

料金の伸び方

3年後の利用人数・アプリ数で総額を試算したか

学習コスト

日本語ドキュメントと問い合わせ窓口があるか

運用体制

誰が作り、誰が承認し、誰が棚卸しするかを決めたか

国内のローコード/ノーコード開発市場は2024年度に994億円(前年度比15.1%増)まで拡大し、2025年度も14.9%増が見込まれています。

開発人材の不足が続くなかで、業務システムを自社で作れる体制を持つかどうかは、事業のスピードに直結します。

まずは無料プランや無料トライアルのある製品を2〜3つ選び、実際の業務データを入れて現場の担当者に触ってもらってください。

資料を読み比べるより、1つのアプリを最後まで作ってみるほうが、自社に合うかどうかは早く分かります。

引用元

・ITR「ITR Market View:ローコード/ノーコード開発市場2026」