発注漏れや二重発注が起きても、Excelの運用を変えるきっかけがつかめない。担当者が辞めたら回らない状態にも不安がある。
この記事では、発注管理システムでどの業務が自動化されるのかを整理し、4タイプ別に11製品を比較して、自社に合う候補を2〜3社に絞るまでの判断基準を解説します。
まず決めるべきは製品名ではありません。自社が「買う側」か「売る側」か、そして取引先を巻き込めるかどうかです。
発注管理システムとは?発注業務のどこが自動化されるのか

発注管理システムが自動化するのは、発注書の作成・送付から納期の追跡、入荷検収、請求書との照合までの一連の流れです。
特に効果が出るのは、転記と目視確認に時間を取られている工程です。
発注管理が担う業務範囲
発注管理は、購買依頼から支払いまでの一本の流れとして捉えます。
- 購買依頼・承認:現場が「これが必要」と申請し、上長が承認する
- 発注書の発行・送付:仕入先ごとに発注書を作成し、メールやFAXで送る
- 納期管理:いつ届く予定かを追い、遅れそうな注文を督促する
- 入荷検収:届いた品と数量を発注データと突き合わせる
- 請求照合・支払:仕入先の請求書と発注・検収の内容が一致するかを確認する
製品によって、この5工程のどこまでを扱うかが変わります。
発注書の発行だけに絞った製品もあれば、1から5まで一気通貫で扱う製品もあります。
システム化すると何が変わるか
手作業が前提だった確認作業が、データの突き合わせに置き換わります。
業務 | システム化前 | システム化後 |
|---|---|---|
発注書の送付 | Excelで作成しPDF化してメール送信。届いたかは電話で確認する | 登録済みマスタから選んで送信。送信履歴と状況がシステムに残る |
納期管理 | 担当者の記憶とメール検索に頼る | 未入荷の注文だけを一覧で抽出できる |
請求照合 | 請求書と発注書を1枚ずつ目視で照合する | 発注データと請求データを突き合わせ、差異だけを確認する |
販売管理・購買管理の中での位置づけ
発注管理は、購買管理という広い業務の一部です。
購買管理は「何をいくらで、どこから買うか」を決める仕入先選定や価格交渉まで含みます。発注管理はその中の「実際に注文を出して受け取るまで」を担当します。
そして購買管理は、販売管理システムやERPの一機能として提供されることもあります。
【ERPとは】会計・販売・在庫・人事などの基幹業務を1つのシステムに統合して管理する仕組みです。
そのため「発注管理システム」を探すと、発注専用の製品と、ERPの中の発注機能が同じ検索結果に並びます。
どちらを選ぶべきかは、後述する4タイプの分類で判断できます。
混同しやすい4つのシステムとの違い【発注側か受注側かで選ぶ】

製品選びで最初につまずくのが、名前の似たシステムとの区別です。
判断軸はひとつで、自社が「買う側(発注側)」か「売る側(受注側)」かです。
受発注システムとの違い
受発注システムは、発注側と受注側の両方を含む双方向の仕組みです。
発注管理システムが買う側の業務だけを扱うのに対し、受発注システムは注文を出す側と受ける側が同じ画面上でやり取りします。
ここで導入の可否を分けるのが、取引先の扱いです。
取引先にも登録や操作を求める製品と、取引先は今まで通りFAXやメールで受け取るだけでよい製品があります。
後者であれば、発注側の判断だけで導入を始められます。
取引先とのやり取りまで1つの仕組みにまとめたい場合は、受発注システム15選で比較している製品が向いています。
受注管理システムとの違い
受注管理システムは売る側の業務を扱うため、発注管理とは対象業務が逆になります。
注文を受け付け、在庫を引き当て、出荷して請求するまでが受注管理の範囲です。
自社が仕入れる側なら受注管理システムは不要です。比較記事で製品が並列に紹介されていても、この点で対象外になるものがあります。
在庫管理システムとの違い
在庫管理システムの主目的は在庫数の可視化であり、発注アクションそのものを持たない製品もあります。
「在庫が減った」ことは分かっても、そこから発注書を作って送る機能がなければ、結局手作業が残ります。
在庫を起点に発注したい場合は、在庫の可視化だけでなく、発注点アラートと発注書の送信まで対応しているかを確認してください。
【発注点とは】在庫がこの数量を下回ったら発注する、と決めておく基準値のことです。
購買管理システム・ERPとの違い
購買管理システムやERPは、見積依頼・稟議・支払いまで含む広い範囲を扱います。
その分、導入時に決めることが増え、初期設定の負荷も上がります。
発注書の送付をデジタル化したいだけなら、ERPは過剰です。
一方、部門ごとの購買を統制したい、支出を分析したいという目的があるなら、発注専用ツールでは足りません。
製造業で生産工程の進み具合まで管理したいなら、工程管理システムの比較もあわせて確認しておくと、必要なシステムを切り分けやすくなります。
紙・Excelでの発注管理はどこで限界が来るのか
Excelで足りている企業は、無理に移行する必要はありません。
判断基準は発注件数と、関わる人数です。
Excelでできること・使われる関数の例
Excelでも、発注書の作成と履歴管理はできます。
商品マスタを別シートに持ち、VLOOKUP関数で品番から商品名と単価を呼び出す。SUMIF関数で仕入先別の発注金額を集計する。条件付き書式で未入荷の行に色を付ける。
このあたりまでは、テンプレートを作り込めば十分に回ります。
月の発注が数十件で、担当者が1人なら、この運用でコストをかけずに管理できます。
限界が表面化する3つのサイン
次の3つが出てきたら、Excelの限界が近いサインです。
- 発注件数が増え、履歴の検索と集計に時間がかかり始めた
- 拠点や担当者が複数になり、ファイルの版が分かれ始めた
- 取引先から「発注書が届いていない」「数量が違う」という問い合わせが増えた
特に2つ目が深刻です。
同じファイルを複数人が編集すると、上書きと転記ミスが起きます。誰が最新版を持っているかを確認する作業自体が工数になります。
Excelが限界を迎えるのは件数が増えたときではなく、触る人が増えたときです。
システム移行を検討すべきタイミング
目安は、月間発注件数100件以上、または発注に関わる担当者が3名以上です。
この規模を超えると、ファイル共有と目視確認の運用が破綻しやすくなります。
加えて、担当者が1人しかおらず、その人以外は発注業務を回せないという状態も移行の理由になります。属人化は件数と関係なく起きるリスクです。
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発注管理システムの主な機能6つ

機能は「どのミスを防ぐか」とセットで見ると、自社に必要かどうかを判断できます。
発注書の自動作成・送付
防げるのは転記ミスと送付漏れです。
登録済みの商品マスタと仕入先マスタから選ぶだけで発注書ができるため、品番や単価の打ち間違いが起きません。
送信方法はメール、FAX、システム上での通知など製品によって異なります。
取引先がFAXしか使えない場合でも、システムからFAX送信できる製品を選べば、取引先側の運用を変えずに済みます。
発注点アラートと自動発注
防げるのは欠品と過剰在庫の両方です。
在庫が発注点を下回ったタイミングで通知が飛び、製品によってはそのまま発注書の作成・送信まで進みます。
欠品を恐れて多めに持つ運用から、必要な量を必要なときに発注する運用へ切り替えられます。
納期・入荷検収の管理
防げるのは督促の後手です。
注文ごとに入荷済み・未入荷のステータスが付くため、遅れている注文だけを抽出できます。
入荷時に数量を入力すれば、発注数との差異もその場で分かります。分納にも対応できます。
仕入先・商品マスタの管理
防げるのは担当者ごとの条件差です。
仕入先ごとの単価や支払条件を一元管理すれば、「Aさんは旧価格で発注していた」といったズレがなくなります。
マスタが整うと、担当者以外でも同じ条件で発注できるようになります。属人化の解消はここから始まります。
購買申請・承認ワークフロー
防げるのは無断発注と不正です。
金額や部門に応じて承認ルートを設定でき、承認されるまで発注書は送信されません。
内部統制が求められる規模の企業では必須の機能です。逆に、発注担当者が数人で決裁も単純な企業には過剰になります。
仕入計上・支払管理・購買分析
防げるのは支払いの二重計上と払い漏れです。
発注データと請求データを突き合わせることで、金額の不一致を検出できます。
さらに仕入先別・商品別に実績を集計できれば、どこにいくら使っているかが見えます。価格交渉の材料になります。
導入で得られるメリットと、事前に知るべき注意点

良い面だけを見て導入すると、初期設定で止まります。負担も併せて把握してください。
メリット1|発注ミス・二重発注が構造的に減る
入力時のチェックと履歴の一元化により、ヒューマンエラーが起きにくい構造になります。
マスタから選択する方式なら品番の打ち間違いが発生せず、発注済みの注文が一覧で見えるため二重発注も防げます。
「気をつける」という運用でミスを減らすのではなく、ミスできない仕組みに変えるのがシステム化の本質です。
メリット2|発注工数の削減と属人化の解消
転記・電話・FAX確認といった作業が減ります。
発注履歴と取引条件がシステムに残るため、担当者が不在でも他の人が状況を把握できます。
引き継ぎの負担も軽くなります。口頭で伝えていた「この仕入先は水曜締め」といった条件を、マスタに書いておけるためです。
メリット3|在庫の最適化と購買コストの可視化
過剰在庫の圧縮は、そのまま資金繰りの改善につながります。
在庫が見えないと、欠品を避けるために多めに発注しがちです。適正在庫が分かれば、その分の現金が寝なくなります。
仕入先別の支出が可視化されると、同じ品目を複数社から違う単価で買っている状況にも気づけます。
注意点1|取引先の協力が必要な製品がある
導入可否を分ける最大の分岐点です。
取引先にも契約や操作を求めるタイプでは、事前に取引先の同意を得る必要があります。
取引先が多い、あるいは高齢の担当者が多い業界では、ここで止まることがあります。
一方、取引先には従来通りFAXやメールで発注書が届く製品なら、自社の判断だけで始められます。
取引先を巻き込む製品は、導入決定から本稼働までの期間が数倍になります。
注意点2|初期設定とマスタ移行の負担
想定以上に時間がかかるのが、商品マスタと仕入先マスタの整備です。
Excelに散らばった品名の表記ゆれを統一し、単価と取引条件を確定させる作業が発生します。
品目数が多い場合は、まず発注頻度の高い品目だけを登録し、運用しながら追加する進め方が現実的です。
注意点3|現場に定着しないリスク
操作が複雑だと、現場は結局Excelに戻ります。
決裁者が機能の多さで選び、実際に毎日使う担当者が触っていないケースで起きやすい失敗です。
無料トライアルがある製品では、必ず現場の担当者に実際の発注業務で操作してもらってください。
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発注管理システムの費用相場とコストの考え方

月額1,000円台から数十万円までと幅があります。この差は機能範囲の差です。
月額1,000円台から数十万円まで、価格帯が分かれる理由
価格帯はおおむね3つに分かれます。
価格帯 | 機能範囲 | 月額の目安(税抜) |
|---|---|---|
低 | 発注の電子化に絞った製品 | 0円〜3,000円程度 |
中 | 在庫連動や案件管理まで含む製品 | 数千円〜5万円程度 |
高 | 購買統制やERPまで含む製品 | 7万円以上、または要問い合わせ |
安い製品が劣っているわけではありません。
発注書の送付をデジタル化したいだけなら、月額3,000円の製品で目的を達成できます。
課金単位の違い(ユーザー数・ライセンス・発注件数)
見積を比較する際は、何が変動費になるのかを確認してください。
- ユーザー課金:使う人数が増えると増える(freee販売、boardなど)
- ライセンス課金:契約ライセンス数で決まる(キャムマックスは1ライセンス5アカウント)
- 発注件数課金:月間発注件数でモデルが変わる(楽々ProcurementII)
- 定額:人数に関係なく一定(CO-NECTは管理ユーザー無制限。CORECも定額だが、無料プランは複数担当者では使えない)
比較の落とし穴は、初期の見積時点の人数だけで判断することです。
3年後の想定人数で試算すると、順位が入れ替わることがあります。
料金非公表の製品をどう比較するか
料金非公表の製品は、要問い合わせが前提です。
公式サイトに金額の記載がない製品について、他社記事の推定額を信じるのは危険です。
問い合わせの際は、次の条件を揃えて相見積もりを取ってください。
- 利用人数(管理者と一般ユーザーの内訳)
- 月間の発注件数
- 必要な機能(承認フロー、在庫連携、外部システム連携の有無)
- 初期費用と、導入支援が含まれるかどうか
同じ条件で複数社に投げないと、金額の比較になりません。
補助金など公的支援の活用
発注管理システムは補助金の対象になり得ます。
2026年度は「デジタル化・AI導入補助金2026」という名称で実施されています。従来のIT導入補助金にあたる制度です。
対象となる製品・ツールはあらかじめ登録されたものに限られ、申請には手続きが必要です。最新の要件は公式サイトで確認してください。
デジタル化・AI導入補助金2026:https://it-shien.smrj.go.jp/
失敗しない選び方6つのチェックポイント

比較表を見る前に、自社の評価軸を持っておくと選定が早く終わります。
自社の発注は「モノ」か「案件・外注」か
最初の切り分けです。
在庫を伴う仕入発注なら、在庫と連動する製品が候補になります。
受注案件に紐づく外注発注なら、案件管理と原価管理ができる製品が候補になります。
卸売業や小売業は前者、システム開発や広告制作などの受託業は後者です。この時点で候補が半分に絞れます。
4つのタイプのどれが合うか
本記事では11製品を次の4タイプに分類しています。
- 発注業務の電子化型:FAX・電話をなくしたい
- 在庫連動・自動発注型:欠品と過剰在庫を減らしたい
- 購買管理・統制型:申請から支払いまでを統制したい
- 販売管理・ERP一体型:発注だけでなく業務全体を統合したい
自社の目的がどれに当たるかを決めてから、そのタイプの製品だけを見てください。
4タイプのいずれにも自社の発注の流れが当てはまらなければ、ノーコードで業務システムを作る方法という選択肢もあります。
取引先に契約・操作を求めずに始められるか
導入スピードを大きく左右します。
発注側だけで完結する製品なら、契約した週から使い始められます。取引先の登録が必要な製品では、案内と説明の期間が必要です。
取引先数が多いほど、この差は大きくなります。
在庫と連動させる必要があるか
在庫連携の有無は製品によって大きく異なります。
在庫を持たない業態であれば不要な機能ですし、在庫連携がある製品は在庫管理システムとしての導入負荷も伴います。
必須要件なのか、あれば便利な程度なのかを先に決めてください。
承認ワークフローが必要か
金額基準や部門別の承認が必要な企業と、そうでない企業に分かれます。
発注担当者が1〜2名で、決裁も社長の口頭確認で済む規模なら、承認機能は使われません。
一方、複数部門が発注する企業では、承認機能がないと支出が把握できなくなります。
既存の会計・基幹システムと連携できるか
API連携かCSV連携か、また上位プラン限定の機能でないかを確認してください。
【APIとは】システム同士を自動で連携させるための接続口のことです。CSV連携が手動でのファイル受け渡しになるのに対し、API連携はデータが自動で流れます。
「連携可能」と書かれていても、実際にはCSVの書き出しと読み込みだけというケースがあります。
どのデータが、どの頻度で連携されるのかまで確認してください。
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発注管理システム11選 タイプ別比較早見表
料金は公式サイトの公表値のみを記載しています。非公表の製品は要問い合わせです。
在庫連携・承認フローは、公式サイトで確認できなかった場合に「記載なし」としています。非対応という意味ではありません。
製品名 | タイプ | 発注側だけで導入できるか | 在庫連携 | 承認フロー | 料金(税抜) |
|---|---|---|---|---|---|
CO-NECT | 電子化 | できる(取引先の登録不要) | 記載なし | 記載なし | 0円/ビジネス3,000円・月 |
COREC | 電子化 | できる(FAX送信可) | 記載なし | 記載なし | 0円/ビジネス1,480円・月 |
BtoBプラットフォーム 受発注 | 電子化 | 取引先も利用する前提 | 棚卸・原価管理あり | 記載なし | 要問い合わせ |
zaico | 在庫連動 | できる | あり(中核機能) | 記載なし | 8,980円・月〜 |
スマートマットクラウド | 在庫連動 | できる | あり(重量計測) | 記載なし | 要問い合わせ |
リーナー購買 | 購買統制 | できる | 記載なし | あり | 要問い合わせ |
楽々ProcurementII | 購買統制 | できる | 在庫機能オプションあり | あり | 要問い合わせ |
楽楽販売 | ERP一体 | できる | 記載なし | あり | 初期20万円+月額7万円〜 |
freee販売 | ERP一体 | できる | 別製品で対応 | あり(スタンダード以上) | 3名で約5,000円・月〜 |
キャムマックス | ERP一体 | できる(Web-EDIは仕入先も利用) | あり | 記載なし | 初期10万円+月額7万円+ライセンス2万円 |
board | ERP一体 | できる | 記載なし | あり(書類の発行申請・捺印申請) | 1,200円・月〜 |
【発注業務の電子化型】取引先へのFAX・電話をなくす3製品
少額から始めたい、まずは発注のやり取りだけをデジタル化したい企業向けです。
在庫管理や承認フローは求めず、発注書の作成と送付の手間をなくすことが目的の場合に適します。
CO-NECT

取引先を巻き込まずに始められる点が最大の特徴です。
発注側は無料プランから利用でき、取引先がCO-NECTを導入していなくても、発注書はFAXまたはメールで届きます。公式FAQでも「取引先に会員登録をしてもらう必要はありません」と明記されています。
料金は、フリープランが月額0円、ビジネスプランが月額3,000円です。
無料プランではFAX発注が使えず、発注履歴とレポートの保存が過去1年間に限られます。ビジネスプランではFAXが月50通まで含まれ、履歴は無制限、電子帳簿保存法に準拠した7年以上のデータ保全が付きます。
まず無料で試し、FAXが必要になった時点で切り替える進め方ができます。
公式サイト:https://biz.conct.jp/buyer/
COREC

発注側の料金プランと機能が独立して明記されている点が特徴です。
受注側と発注側でプランが分かれており、発注側のビジネスプランは月額1,480円です。法人で契約できる有料プランとしては、比較した中で最も安い水準です(boardのPersonalは月額1,200円ですが個人事業主専用です)。初期費用は0円です。
無料プランでも発注回数は無制限で、FAXは月5回まで使えます。ビジネスプランでは月200回まで(超過分は15円/回)に増え、CSVによる一括発注と複数担当者での利用が使えるようになり、商品登録できる発注先が1社から無制限になります。
発注額集計レポートを持つ点も、この価格帯では珍しい機能です。無料プランは当月分のみ、ビジネスプランは全期間を集計できます。
公式サイト:https://corec.jp/plan/
BtoBプラットフォーム 受発注

飲食・宿泊業界に特化した業界基盤です。
飲食・宿泊業で8万3,000店舗以上の導入実績があり(全国では5万社以上が導入)、多くの食品卸・メーカーが既に受注側として参加しています。取引先が既に使っている可能性が高いことが、この製品の導入メリットです。
機能は発注にとどまらず、棚卸発注、仕入・支払管理、メニュー別の原価率算出まで扱えます。多店舗展開やフランチャイズ本部での利用を想定した設計です。
料金は公表されていないため、要問い合わせとなります。
また、取引先とのネットワークを前提とする仕組みのため、取引先の参加状況を事前に確認してください。
公式サイト:https://www.infomart.co.jp/order/index.html
【在庫連動・自動発注型】在庫の減りを起点に発注する2製品
在庫を持ち、欠品と過剰在庫の両方に悩んでいる企業向けです。
発注のきっかけを人の判断ではなく在庫データに委ねたい場合に適します。
zaico

在庫データごとに発注点を設定し、下回ったらアラートを出せます。
在庫管理システムとして在庫の可視化を行い、そのまま発注書のメール・FAX送信まで進める流れです。理論在庫にも対応しており、未来の在庫不足を事前に検知できます。
注意すべきはプランによる機能差です。
発注点アラートと発注書のメール送信はベーシックプラン以上で、スタータープランは帳票のFAX送信が月1回まで、帳票のメール送信は利用できません。AIが適切な発注点を提案する「発注点サジェスト機能」もベーシックプラン以上で、スタータープランでは発注点の設定・閲覧そのものができません。
料金はスターターが月額8,980円、ベーシックが月額49,800円、プロフェッショナルが月額150,000円からです。ユーザーの追加には別途料金がかかります。
発注機能を目的に導入するなら、実質的にベーシック以上が前提になります。
公式サイト:https://www.zaico.co.jp/plans/
スマートマットクラウド

IoT重量計の上に在庫を置くだけで、在庫数を自動計測します。
人が数えて入力する工程そのものがなくなるため、棚卸と在庫確認の工数が消えます。減った分を検知して補充タイミングを自動通知し、消耗品の自動発注にも対応します。
前提となる制約があります。
マットの上に置ける物量であること、そしてマットの耐荷重を超えないことです。
マットはA6サイズの小型から500kg対応まで用意されていますが、重量で測れない在庫や、常時マット上に置けない在庫には使えません。
消耗品や副資材のように、種類が決まっていて置き場所が固定できる在庫に向いています。料金は公表されていないため、要問い合わせです。
公式サイト:https://www.smartmat.io/
【購買管理・統制型】申請から支払いまでを統制する2製品
購買の申請・承認プロセスを整備したい中堅企業から大企業向けです。
発注書の電子化ではなく、誰がいくら使っているかを統制することが目的の場合に適します。
リーナー購買

多様な取引先からの購買プロセスを一元化する購買プラットフォームです。
公式サイトでは、購買状況の見える化による調達コストの適正化、ガバナンスの強化、生産性の向上を目的として位置づけています。
公式サイトでは「見積から支払まで、あらゆる購買業務に対応」と明記されており、発注書の発行にとどまらない範囲を扱います。
対象は主に間接材の購買です。
【間接材とは】製品の材料そのものではなく、事務用品・工具・外注サービスなど、事業活動を支えるために買う物品やサービスを指します。
部門ごとにバラバラに発注され、支出の全体像が見えなくなりやすいのが間接材です。
ここを一元化することで、どこに何を支払っているかを把握できるようになります。料金は公表されていないため、要問い合わせです。
公式サイト:https://leaner.jp/purchasing
楽々ProcurementII

購入依頼から入荷検収まで、購買業務全般を網羅する製品です。
間接材だけでなく直接材にも対応し、標準機能に加えて在庫機能をオプションで追加できます。
提供形態はオンプレミス版とクラウド版の2種類です。
【オンプレミスとは】自社が用意したサーバーにシステムを導入して運用する方式です。クラウドと違い、サーバーの準備と保守が自社の負担になります。
オンプレミス版のライセンスは月間発注件数で3つに分かれます。Model 3Kが3,000件以下、Model 15Kが15,000件以下、Model 30Kが30,000件以下です。
クラウド版には、中小規模向けの低価格・短期間導入モデル「楽々ProcurementII LE(Limited Edition)」も用意されています。ただしLEには利用機能と発注件数の制限があります。
料金は月間発注件数によって変動するため、いずれも要問い合わせです。
公式サイト:https://www.sei-info.co.jp/procurement/license/
【販売管理・ERP一体型】案件や会計と一体で管理する4製品
発注単体ではなく、販売・仕入・会計まで業務全体を統合したい企業向けです。
発注データを売上や原価とつなげて管理したい場合に適します。
楽楽販売

受注案件と外注発注を紐づけて管理できる販売管理システムです。
案件ごとに、いくらで受注していくら外注したかが追えるため、案件別の原価を把握できます。承認フローのシステム化にも対応しています。
特徴は、マウス操作で自社仕様にカスタマイズできる点です。カスタマイズ費用が0円のため、自社の業務フローに合わせて項目や画面を変更できます。
料金は初期費用200,000円、月額70,000円からです。月額はユーザー数やデータベース作成数によって変動します。
在庫連携についての記載は確認できませんでした。
在庫を伴う仕入発注が中心なら、他のタイプを検討してください。
公式サイト:https://www.rakus.co.jp/rakurakucloud/hanbai/price/
freee販売

発注から仕入、会計仕訳までが一本化される点が特徴です。
発注データがそのまま仕入計上につながり、freee会計と連携して仕訳まで流れます。買う側の伝票フローを二重入力なしで処理できます。
承認機能はスタンダードプラン以上が対象です。見積・発注・仕入の登録申請と承認はスタータープランでは利用できず、帳票の発行申請・承認も一部制限があります。承認フローが必要なら、10名利用で約40,000円/月のスタンダードプランが前提になります。
料金はユーザー数に応じた月額制です。スタータープランが3名利用で約5,000円/月、スタンダードプランが10名利用で約40,000円/月です(いずれも年払い・税抜)。
在庫管理は「freee在庫管理」という別製品での対応になります。
在庫連携が必要な場合は、両製品の契約が前提になる点に注意してください。
公式サイト:https://www.freee.co.jp/sales-management/pricing/
キャムマックス

在庫・販売・購買・財務会計を一元化するクラウドERPです。
比較した11製品の中で、発注に関連する機能の網羅性が最も高い製品です。在庫を持つ卸売業や小売業で、基幹システムごと入れ替えたい場合に適します。
コスト構造には注意が必要です。
初期費用100,000円に加え、月額は基本料金70,000円+1ライセンス20,000円(1ライセンスにつき5アカウント)です。
さらに、発注関連の一部はオプション課金になります。
仕入先が直接発注データを確認し、納期回答まで行える「発注Web-EDI」は、初期30,000円・月額20,000円の追加です。バーコードで入出荷検品や発注ができる「WMSモバイル」も同額の追加になります。
必要なオプションを洗い出したうえで総額を見積もってください。
公式サイト:https://www.cammacs.jp/price/
board

中小企業・個人事業主向けで、比較した中で最も安価に始められます。
案件と発注を紐づけて管理でき、案件単位の損益まで追えます。見積・請求とセットで使う前提の設計です。
料金は初期費用0円で、Personalが月額1,200円(1名・個人のみ)、Basicが2,400円(3名まで)、Standardが4,900円(15名まで)、Premiumが7,900円(50名まで)です。
この金額はユーザー1名分ではなくアカウント全体の金額です。51名以上は1ユーザーあたり月額300円で追加できます。30日間の無料お試しがあります。
在庫管理機能についての記載はなく、在庫を伴う仕入発注には向きません。
受託開発や制作業のように、案件に紐づく外注発注が中心の企業に適した製品です。
公式サイト:https://the-board.jp/helps/help_about_price/
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導入から定着までの4ステップ

検討から本稼働までは、次の4ステップで進みます。
- 現状の発注フローを棚卸しする
- 要件を絞り込み2〜3製品に候補を絞る
- 無料トライアルで現場が操作する
- マスタ移行と取引先への案内
STEP1. 現状の発注フローを棚卸しする
出発点は、今の業務にどれだけ時間がかかっているかの可視化です。
発注書の作成、送信、納期確認、入荷チェック、請求照合のそれぞれに、月何時間使っているかを担当者に確認してください。
数字が出ると、どの工程を自動化すべきかが決まります。同時に、システム導入で削減できる時間が見えるため、費用対効果の説明もしやすくなります。
STEP2. 要件を絞り込み2〜3製品に候補を絞る
機能を盛り込みすぎないことが重要です。
必須要件と、あれば便利な希望要件を分けて書き出してください。必須要件だけで比較すると、候補は自然に2〜3製品まで絞れます。
判断に迷う場合は、前述の6つのチェックポイントを順に当てはめてください。
特に「取引先の協力が必要か」で大きく候補が分かれます。
STEP3. 無料トライアルで現場が操作する
決裁者ではなく、実際に毎日発注する担当者が触ってください。
評価するのは機能の多さではなく、いつもの発注業務を最後まで迷わず完了できるかどうかです。
トライアル期間中に、実際の仕入先データを何件か登録して、普段の注文を1回通してみることをおすすめします。
STEP4. マスタ移行と取引先への案内
稼働前に必要なのは、商品マスタと仕入先マスタの整備です。
表記ゆれの統一と単価の確定に時間がかかるため、稼働予定日から逆算してスケジュールを引いてください。
取引先の操作が必要な製品では、稼働の1か月前を目安に案内します。取引先の操作が不要な製品でも、発注書の書式が変わることは事前に伝えておくとトラブルを避けられます。
発注管理システムに関するよくある質問
発注管理と購買管理の違いは何ですか?
対象範囲の広さが違います。
購買管理は、仕入先の選定や価格交渉を含む「何をどこからいくらで買うか」全体を指します。発注管理はその中の「注文を出して受け取るまで」を担当します。
発注管理システムは購買管理システムの一部機能として提供されることもあります。
小規模な会社でも導入する意味はありますか?
月間発注件数100件未満で、発注担当者が1〜2名なら、Excelでも十分に回ります。
ただし、担当者が1人しかおらず他の人が発注できない状態なら、件数に関わらず検討する価値があります。属人化はリスクだからです。
無料プランがある製品もあるため、コストをかけずに試すことは可能です。
取引先もシステムを使う必要がありますか?
製品によって異なります。
CO-NECTのように、取引先の会員登録が不要で、従来通りFAXやメールで発注書が届く製品もあります。この場合は自社の判断だけで導入できます。
一方、取引先も同じシステムに参加する前提の製品では、事前の合意形成が必要です。
無料で使える発注管理システムはありますか?
発注側に無料プランがある製品は存在します。本記事ではCO-NECTとCORECが該当し、どちらも発注回数は無制限です。
無料プランを検討する際は、FAX送信の可否、発注履歴の保存期間、複数担当者で使えるかの3点を確認してください。
この3つはいずれも有料プランで解除される制限です。
既存の会計ソフトや基幹システムと連携できますか?
API連携かCSV連携かを確認してください。
API連携ならデータが自動で流れますが、CSV連携は手動でのファイル受け渡しになります。
また、連携機能が上位プラン限定になっている製品もあります。zaicoは料金ページでプロフェッショナルプランの特長として「外部システムとの連携」を挙げていますが、機能一覧ではベーシックでもkintone連携やWebhookが使えます。プラン別の対応範囲は機能一覧で確認してください。
まとめ|自社のタイプを見極めて2〜3製品に絞り込もう
発注管理システム選びは、次の順序で判断すると迷いません。
- 自社は「買う側」か。受注管理システムや受注側向けの製品は候補から外す
- 4タイプのどれか。電子化型/在庫連動型/購買統制型/ERP一体型から目的に合うものを選ぶ
- 取引先の協力が必要か。不要な製品なら自社判断で即開始できる
- 費用と課金単位。3年後の想定人数・件数で試算する
Excelで足りているなら、無理に移行する必要はありません。
移行のサインは、発注件数の増加よりも「触る人が増えたこと」と「担当者以外に回せないこと」です。
候補が2〜3製品まで絞れたら、無料トライアルか問い合わせに進んでください。その際は、現場の担当者に実際の発注業務で操作してもらうことを忘れないでください。
選定の最後の判断は、機能一覧ではなく現場が使えるかどうかで決めてください。
